1-3. 攻撃される人とされない人

1. 印象操作術の方法

「何をやったか」ではなく「誰がやったか」

同僚のAさんが間違いを犯しても「誰にでも間違えはあるよ」などと言って責めないのに、自分が同じ間違いをしたら「いい加減にやってるからこういう間違いをするんだ!」と叱責される。そのような経験をしている人は多くいると思います。

人間は何か失敗したり問題が起きた場合に、その原因がどこにあったのかを考えます。そのときに「課題が困難だった」「運が悪かった」という問題を発生させた当事者の外側に原因があったと考える「外的要因」と、努力不足や不注意といった当事者の性格を原因とする「内的要因」のいずれかの判断をします。そして、この判断には相手によって一定のバイアスがかかる傾向があります。これを「原因帰属バイアス」と言います。

怒られやすい人は原因帰属バイアスが内的要因にかかっています。誰にでもあるようなミスであれ、たまたま運が悪かっただけのことであれ、責任感がない、いい加減だと一方的に性格的な要因に決めつけられやすくなっているのです。

その偏見に拍車がかかると、間違えとも言えないようなことや他の人だったら何も言わないことに、適当な難癖をつけて攻撃をしてくるようになります。(実際、他の人もやっているのに、特定の人だけを叱責する上司が過去に何人もいました)

このように差別的な扱いを受けることにより、たとえ能力は他の人と変わらなくても、仕事のデキない奴に仕立てあげられ、その結果、職場内で「デキない人」という印象が植え付けられてしまう場合すらあります。(それが社内評価に影響し、昇給や昇進にも影響するのです)

原因は印象のポジション

このように、加害者はやったことに対して叱責してきますが、実際には「何をやったか」が理由ではなく「誰がやったか 」なのです。

では、この差はどこから来るのでしょうか。これは、印象のポジションの違いが原因です。問題は、あなたの印象が加害者の中で攻撃を向ける対象の心理的ポジションになってしまっていることなのです。

前項で述べた攻撃癖の強い「弱い者にだけ強い人間」は、不満を感じるとそれがすぐに「怒り」に変わりやすい特徴があります。あなたが攻撃を仕掛けやすい印象ポジションにいると、機嫌が悪いだけで一挙手一投足に難癖をつけて怒りを向ける「転嫁性攻撃」や上司や客先などの怒りを向けることができない相手の代わりに攻撃対象とする「代理攻撃」の対象にもされます。

一度、攻撃されやすい印象ポジションになってしまうと、怒られないように一所懸命やっても何とでも言えるので、もうそれだけで対処しようとしても無理な状態になってしまっているのです。

では、このポジションはどうやって決まったのでしょうか。それは、それまでのあなたの様々な印象の積み重ねの結果なのです。(人によって第一印象から有利・不利の差もあります)

加害者が「何をやったか」ではなく「誰がやったか」で怒りを向ける相手を決めているように、こちらもやることに対処する以前にパワハラをしてくる相手に対処しなければならないと知る必要があります。

そして、私が薦める印象操作術はそのポジションを変えさせることができます。

攻撃されやすい印象ポジションは原因帰属バイアスが内的要因になると言いましたが、攻撃されにくいポジションは逆に外的要因にバイアスがかかっているので、問題を起こしても怒ってこなくなり、たとえ軽率な間違いをしても「仕方ない」と判断されやすくなります。(但し、頻繁にやると印象ポジションがまた悪い位置に変わってしまいます)

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